2023.08.29
こんにちは、岡村です。
前回は、気密性能の重要さをお話しました。
今回は、住宅にまつわる水蒸気のお話をします。
人が住まう建物の中では、水蒸気の出入りを減らすということが重要となります。
皆さんは、冬場暖房をつけると気温は温かくなるけど、それでもエアコンから遠いところは少し寒く感じたり、
気温はある程度あるけどとても乾燥した状態、という経験はないでしょうか?
暖房をつけると乾燥してきます。
それは、室内の空気中の水蒸気が減っているから。
加湿器をつけないと、20~30%ほどしか湿度がありません。
水蒸気が多いと体感は温かく感じ、水蒸気が少ないと寒く感じます。
湿度50%気温25℃のカラッとした空間と、湿度90%気温25℃のジメジメした空間、
気温は同じ25℃でも、湿度が高いほど暑苦しく感じます。
同じぐらいの気温でも高知県の夏よりも沖縄県の夏の方がジメジメと暑いのは水蒸気量の違いです。
室内の空気中に含まれる水蒸気の量によって、同じ気温でも温かく感じるか、寒く感じるかの体感温度が違ってきます。
逆に、夏は水蒸気を室内に入れないようにする必要があります。
そもそも、水蒸気とはどのような動きをするのでしょうか?
・気温が高いと水蒸気を多く含むことができる
よく「湿度」という言葉を使いますが、湿度は%で表されます。
普段よく使う湿度50%などの「湿度」とは、『相対湿度』といいます。
相対湿度とは、ある温度の空気中に含みうる最大限の水分量(飽和水蒸気量)に比べて、
どの程度の水分を含んでいるかを示す<%RH>割合で表します。
それとは別に、『絶対湿度』ということばがあります。
絶対湿度とは、湿り空気(一般に存在する空気)中の乾き空気(全く水分を含まない空気)1kgに対する水蒸気の質量を示し、g/kg(DA)で表します。
では、気温が高いと多くの水蒸気を含むことができるというのに、暖房をすれば湿度が少なくなって乾燥するのはなぜ?と思うかもしれません。
暖房をすることによって空気は多くの水蒸気を含むことができますが、その水蒸気は多い所から少ない所へ移動していきます。
この表は「湿り空気線図」というもので、縦軸が気温(℃)、斜めの曲線が相対湿度(%)、横軸が絶対湿度(g)です。
例えば、暖房と加湿をした居室で気温23℃湿度50%の場合、空気1kgに含まれる水蒸気量は9gとなります。
対して、外の気温が0℃で雨降りの湿度100%だった場合は、空気1kgに含まれる水蒸気量は4gです。
この表からわかることは、下の図のように、空気中に水蒸気が多く含まれている室内から、
外へ向けて水蒸気が逃げていくということです。
夏は反対に、外の気温が高く、室内は冷房で気温が低いので、外から中へ水蒸気が入ってこようとします。
なので、『いかに水蒸気の移動を防ぐか』が重要になってきます。
jigsawでは水蒸気を逃がさないために、気密をしっかりと取り、さらに防湿シートを貼っています。
水蒸気は、あらゆる素材を通過していきます。
クロス(壁紙)、石こうボード、木材、断熱材など、素材をすり抜けて外へ逃げていきます。
前回のおさらいですが、断熱性が高くても気密性が良くなければすき間から空気が逃げていきます。
しかし、気密性が良くて空気の漏れは少なくても、水蒸気はあらゆる建材を通過して逃げていきます。
jigsawでは気密シートとお話していますが、その気密シートが防湿シートとなり、
ビニールのようなシートを貼ることで水蒸気が逃げること防ぎます。
外壁面の壁はもちろん、屋根、そして1階の床に貼ることによって、
冬は乾燥しがちで加湿器を使い、ようやく相対湿度40%ほどになる室内の水蒸気を室内にしっかり留めること、
逆に夏は外の蒸し暑い空気を入れず、冷房で水蒸気量が少ない室内に外からの水蒸気を入れない、ということをしています。
先日の竹内のブログにも写真がありますが、土台敷きの時に、床の構造用合板の下にこの防湿シートを敷設します。
こうすることで、室内から床下に水蒸気を逃がさない、あるいは床下から室内に入れないということです。
施工にはとても手間暇かかりますが、こうして見えない部分をしっかりと施工することで、
本当にエアコンの効率に寄与し、電気代にも影響してくる省エネ住宅ができます。
また次回も引き続き断熱気密についてお話します。
それではまた。