柿内さんは、丁寧に暮らしている人だ。
例えば三人の男の子を育てる母でもある柿内さんは今まで、逐一「~しなさい」とはできるだけ言わずに子どもと付き合ってきた。
一人の人間として子どもと向き合い、コミュニケーションをあきらめないこの在り方には、余裕のある心と強い意志が必要である。
さらに、料理が趣味で、なかでもパン作りが得意だという柿内さんは、20年かけて醗酵に必要な時間をその触り心地で
見極められるようになった人でもある。
「これは、生地を何度もこねて作り続けてきたからこそわかることだと思います」と柿内さん。
こうして人やモノにきちんと向き合う姿勢を「丁寧」と呼ばずして、一体何を丁寧と形容できるだろう。
そしてその暮らしに対する姿を前にしたとき、柿内さんの仕事もまた丁寧であろうことは想像にかたくない。
柿内さんは本当の意味で、しびれるほど丁寧な生き方をしている。